眼鏡

「千種ってそんなに目悪いの?」
「悪いよ」
やけに顔を見てくると思ったら、眼鏡を気にしていたようだ。
眼鏡なんて珍しくも何ともないのに。
こんなものを眺めて楽しいのだろうか…?
不意に後ろから手が伸びてきて、俺の眼鏡が外された。
「……」
「ちょっとだけ貸してよ〜」
千種が返事をする前に、は眼鏡を取り上げ、自分にかけてみた。
そして目を真ん丸くして、不思議そうに辺りを見渡す。
「…何これ」
「?」
「周りがぐにゃぐにゃに見える」
「視力が良い人が眼鏡をかければ、そう見えるだろうね」
眼鏡をかけてふらつくに、千種が近づく。
肩を押さえての顔を自分の方を向かせた。
「ぅわっ」
「ほら。眼鏡返して」
「うん…」
眼鏡を外すと、そこには千種のアップ顔。
眼鏡を外した千種の顔。初めてこんな近くで見た。
すごく綺麗な顔してて、かっこよくて…。
?」
「はへッ!?」
「どうかした?」
「い、いやっ!別に!」
思わず顔が赤くなる。
ああ。これが恋ってやつなのかなぁ。
まさか初恋が、こんなメガネの 影薄そうな奴になろうとは…。

END