隠れ話

「千種と?」
「うん…」
ボロボロになったソファーの上にちょこんと座って話し込む二人。
「私も千種とはあんまり話したことないからなぁ…」
「なになに?!何の話?」
面白そう、とMMが話を割って入ってきた。


「えぇ!?あの眼鏡がいいの!?…あんたの趣味はわからないわ…」
事情を話した途端にMMが声をあげる。
「うぅ…」
「やっぱ彼氏にするなら骸ちゃんみたいな人じゃなきゃ!」
目を輝かせるMMを、じろりと髑髏の視線が向く。
「私も骸様がいい…」
「あーら、あたしと張り合うつもり?」
火花を放つ二人をあとに、は一人部屋へと戻った。
「はぁ…話すんじゃなかったかな…」
「何が?」
「!!?」
誰に言うでもなく吐いた言葉に返事が返ってきて、振り返ってみると千種がいた。
「ち、くさ…」
「で?何の話してたの?」
「べ、別に…」
千種について(途中骸さんになったけど)なんて言えない…
何でもないから、とそこから逃げようとしたら顔の横に手が伸びてきた。
「…っ」
壁に追いやられ、両手を掴まれれば逃げ道は遮られる。
「ふーん…」
「……」
どいてくれる気配が全くない。
う、嬉しいけど…緊張と恥ずかしさで狂いそう…そしてなんだか怖い。
っていうか千種ってこういうキャラだっけ?


「は、はいっ!!」
ぼーっとしていて、思わず口調が変になる。
「目、つぶって」
「はい!」
瞬間、唇に柔らかいものが重なった。何も考えてなかった。
普通の状態だったら、目をつぶれと言われた時点で何をされるか、だいたい予想がつく。
だけど今の私には、そんな予想をできるほど余裕がない。
唇が離れたあとも、思うように口が動かなくて、上手くしゃべれない。
「ぁ…っ、ー」
「何言ってんのかわかんない」
意地悪く笑い、部屋を出ていく千種。
「何話してもいいけど、俺に言いたいことがあるなら直接話してよ」
あぁ…なんだ。知ってたんじゃん。千種の意地悪。
私はしばらくその場から立つことができなかった。

END