サイテー

『周りのこと考えないなんてサイテーよ』
偶然通り掛かった部屋の中から聞こえた言葉。
どうやらが千種に愚痴を聞いてもらっているようだ。
あいつは黙って話を聞くのが上手いから、愚痴るなら適任ら。
一体誰のことだろう…。……ランチア?
いや。あいつは気配りができる奴だ。
それとも骸さん?いやいやそんなはずは…。
もしかして…俺のこと…?
顎に手を当てて、今までの自分を振り返ってみた。
つまらなくなれば、千種の予定など全く無視して遊びをねだる。
お腹が空けば、が何をしていても飯をねだる。
………。
やべえ。俺のことかもしんねぇ…。
どうしようどうしようと、あわてふためいていると、突然部屋のドアが開いた。
「んー?犬どうしたの?」
…」
「顔が真っ青だよ?」
「……」
入ってきたのはだ。いつも通りの笑顔。
らけど、本当はオレのことが嫌いなんれしょ?
らったらいっそのこと、ガツンと一発言ってよ。
「犬?」
。ホントのこと言ってくれ」
「ホントのこと?」
はオレが嫌いなんれしょ?サイテーなんれしょ?」
「は!?え?…何が…?」
「さっき話してんの聞こえたんら。周りのこと考えない奴はサイテーらって」
「あ…。確かに話してたけど…」
「オレいっつも柿ピーとかのこと考えないで、自分のことばっかで…」
申し訳なさそうに縮こまり、俯いて話す犬。
すると、クスリと小さな笑い声が聞こえた。
ゆっくりと顔を上げると、そこにはの笑顔があった。
「バカだなぁ」
…」
「犬はとっても優しいじゃない」
「じ、じゃあ…」
「あれは犬のことじゃないよ。電車の中でマナーが悪いおばさんの話」
大きく肩を落とす犬。どっと疲れた。
でもホントよかったー オレのことじゃなくて。
「犬は可愛いね」
ふわっと柔らかい感触。
は犬の頬に小さなキスをおとした。
いきなりのことで、犬の顔は一気に赤くなる。
うわ オレすげーダセェ!! これ普通逆だよな…。
苦し紛れに、オレより小さなの身体をぎゅっと抱きしめてみた。
が一番可愛い」
オレのその一言での顔も赤くなった。

END