二人だけの夜

「お邪魔しまーす!」
どたどたと俺の家に上がり、はしゃいでいるのは。 今日は親父の帰りが遅いって言ったら、夕飯を作ってくれるらしく うちに来た。 今日は太臓も悠もまっすぐ家に帰ったし、トラブルの心配はなさそうだ。
「宏海んちって初めて見た…片づいてるね〜」
「あんま見んなよ。そんなに意外か?」
「ううん、そうじゃないよ」
「じゃあ何だ?」
「…宏海の家だし…これでもっと宏海のこと知れたらいいなって思って…」
ちょっと顔を赤らめて、ぽつりとはそう言った。 いやまて、その顔と台詞は反則だ。 こんなこと言われたら、健康な男子学生は……
「宏海?」
の声でハッと我に返る。 俺は慌てて「何でもない」と笑顔を返した。 (つもりだったが、の反応からしてかなりぎこちない笑顔だったみたいだ…) 「じゃ、じゃあ私ご飯作ってくるね!」
「お、おう…」
は鞄と上着を置き、腕をまくってやる気満々だ。 制服が汚れないようにと思って、エプロンを貸したが… 今日太臓と悠が来なくて本当に良かった。 太臓ならきっと料理中のに飛び付いていっただろう。 そして悠。俺がにエプロンを貸したことで、「いやらしい」とか言うに決まってる。 ダメだダメだ!こんな時にあいつらの事考えるのはやめろ俺!! 気を紛らわせるため、テレビを付けて夕飯ができるのを待った。

*****

「ごちそーさん!」
「お粗末様」
「いやー料理上手なんだな、すっげー美味かったよ」
「ホント?良かったv」

「あ、もうすぐおじさん帰ってくるよね、そろそろ帰らないと…」
「あ…その…」
「??」
「親父…仕事で明日の朝まで帰れなさそうだって…さっき連絡があったんだ」
「あぁ…そっか…」
沈黙。 なぜだか俺もも言葉がなかなか出てこない。 たぶんちょっとの時間だったんだろうけど、ものすごく長い時間に感じた。 その沈黙を破ったのはだった。
「それじゃ、私これ片付けて帰るね」
食べ終わった食器に手を伸ばそうとしたの手。 俺は思わずその手を引っ張って、を抱き寄せた。
「こ、み…!?」
「……今日泊まっていかねえか?」
「!!」
また沈黙。そりゃ突然こんなこと言われても困るよな。 俺も俺だ。何太臓みたいなこと言ってんだか…。
「悪りぃ……何でもねーや」
俺はそっとの手を離し、食べ終わった食器を持って立ち上がった。 すると腰に細くて白い腕がするりと伸びてきた。
「!?……?」
「悪くない……私…嬉しかった、の」
「……」
「今日…泊まっていいの?」
「…はいいのか?」
「うん、泊まりたい」
そう言った時、の腕の力が少し強まった気がした。 俺は食器を置いて、の肩を掴み、そのまま唇に自分のを重ねた。 もそれに応えるように腕を俺の首へと回した。

その日。はうちに泊まり、俺と寝た。

*****

「宏海ぃ〜ただいま〜♪パパだぞ〜♪」
「んーだよ、俺はまだ眠みぃーんだ、寝かせろ」
「なんだ、冷たいな〜せっかく急いで帰ってきたのに……ん?」
クソ。親父のせいで目が覚めちまった。 まだ重い目を擦りながら布団から出た。 あれ?親父はどこいきやがったんだ? 今さっきまでここにいたのに……。 と思ったら、隣からドタドタとものすごい足音が近づいてくる。
「こおおおおおみいいーーーーー!!!!」
「な、なんだよ!!」
「お、お前…昨日誰かと寝たのか!!?」
「(ドキッ)な、なんだよ急に…!」
「お前の布団から女の子みたいな臭いがするぞ!?」
「!!!!(イヌかよこいつは!?)ち、ちげーよ!なんかの勘違いだろ」
「いいーや!!パパがお前の臭いを間違えるわけがない!!!」
「気持ち悪りぃーこと言ってんじゃねえよ!!!」