悪夢

『近づかないでよ』
本気か…?
『宏海なんて…』
嘘だろ…?

『大嫌い』

っ!!」
薄明かりの部屋。外は明るくなりつつある。
「夢、か…」
心臓が破裂しそうなほどバクバクしてる。
手や背中、額にはたくさんの汗。嫌な夢。
こんな夢を見たのは、たぶん昨日と喧嘩をしたからだろう。
たいしたことではないが、まだ仲直りはできていない。
今日は学校も休みで、次に会えるのは二日後だ。
「んな待ってられっか…」
不安で不安で仕方なかった。
もし夢の通りになっしまったら…。
そう考えると、二日なんて待てない。
宏海は布団から身を起こした。

*****

「何?こんな時間に…」
扉から出てきたは寝起きのせいか、ちょっと不機嫌のようだ。
「まだ眠……っ!?こ、みっ…」
の言葉を無視して、腕を引き、抱き寄せた。
「わるかった…」
「え?」
「昨日のこと…悪かった」
「あ、ぇ…うん。私も…ゴメン。もう怒ってない、からさ…」
だが宏海はから離れようとしない。
強く抱いたまま、動く気配がなかった。
「今平気か?」
「ん?」
「家。上がっても…」
は小さく宏海の腕の中で頷いた。
は一人暮しで、この家には兄弟や親はいない。
だから、頻繁に訪れ、長居することが多かった。
家に上がった宏海は、再び後ろから抱き着いた。
「今日はどうかしたの?」
「なんで?」
「なんかいつもと…」
何かが違う…。

に…嫌われた夢みた」
「夢?」
「ああ…」

クスッ

「なんだよ」
「それでこんな時間に来たわけだ?」
「……」
「あはは、宏海も可愛いとこあるね」
「っ悪いかよ」
「あは、ゴメンゴメン。そんなことないよ…」
腰に回された宏海の腕に、自分の手を重ねる。
「すごく嬉しい」
…」
振り向き際に口付けをされ、身体が震える。
最初は触れる程度の軽いそれ。
だが、次第に深くなり、二人の舌が絡み合う。
首だけを捻っていたの身体を反転させ、背中に腕を回す。
それに応えるように、も宏海の首に腕を絡ませた。
「ん…っ、」
「いいのか…?」
「…ぅん」
そして二人は一つになる。

END