満員電車

「なんでこんな混んでるのよ!」
朝。骸さんに買い物を頼まれ、今は、ランチアと 一緒にの電車の中。いつもは空いているのに、こういう日に限って混んでいる。座る席は もちろんのこと、吊り革すら掴むところがない。バランス感覚のないは、電車がちょっ と揺れる度によろける。カーブに差し掛かり、大きく電車が傾くと同時に、の体も大き く傾いた。その拍子に、隣にいた若い男に抱き着くように倒れてしまった。
「っ!! ご、ごめんなさいっ」
へこへこと謝るだが、ぶつかられた男はというと、嬉しそう な顔をしていた。よろけたの腕を掴み、大丈夫?とか言ってるけど、触り過ぎ。背中や 腰にまで手を伸ばしているが、は鈍感なので、全く気付いていない。その様子を見て、 ランチアの表情が険しくなる。
「おい、。ちょっとこっちこい」
「んー …?っぅわ!!ランチア!?」
「俺につかまってろ」
「ぅ…ん」
やや強めに の腕を引き、抱き抱えるように自分の胸に引き寄せる。最初は驚いた様子のだった が、ちょっと恥ずかしそうにランチアの服を握りしめ、小さく頷いた 。

それから数分後。がいきなりぴくりと体を震わせた。我慢はしているもの の、微かに甘い声と吐息が漏れ出す。
「っ…ゃ…」
?」
「……っ」
ランチアの服を強く握り、どんどんの体が熱を帯びていき、顔が紅潮し始め る。しかしランチアの位置からは、何が起きてるのかさっぱりわからない。の様子から して、おそらく痴漢の仕業だろうが。嫉妬心と怒りがランチアの中に込み上げてくる。 少し考えたあと、再びを 抱き寄せる。そのまま無理矢理向きを変え、ドア側にを立たせ、そこに覆いかぶさるような形 で、手をの顔の両サイドに置いた。
「大丈夫か?」
「…は、ぁ……大、丈夫」
「ったく…(どこのヤローだ…!)…ん?何笑ってんだ?」
「ううん…なんか…この体勢だとドキドキするなーって」
まだを赤みを帯びた顔で、上目遣いをされれば、ラン チアの心臓がドクンと脈打つ。「(ヤベ…キスしてぇ…)」。流石に公共の場でするのは まずい、と、電車に乗ってる間、必死に我慢し続けるラ ンチアであった。