お父さんとお母さん

!?」
キッチンで夕飯の支度をしていると、突然背後から声がした。
振り向くとそこにはランチアの姿。
だが様子がおかしい。
「ん…?どうか、した?」
「お前がどうしたんだよ!」
「へ?」
「だって泣いて……あ」
の手には鋭い包丁が。もう片方には白くて丸いタマネギが一つ。
そして目を真っ赤にして泣く
なんだ、そういうことか。

「あはは、勘違いだね」
見透かしたように、だが無邪気にが笑う。
照れ隠しに頭を掻きむしり、目を逸らす。
「今日はが当番か」
「うん!カレーでも作ろうかと思って」
朝と昼はそれぞれで準備。
夜は日替わり交代制で作っている。
昨日は犬がインスタントラーメンを作った…というか準備した。
もちろん大ブーイングを受けたが…。
そして今日はが当番だ。
「昨日はひどい夕飯だったからな…今日は頼むぞ」
ニカッと笑って頭をわしゃわしゃと撫でられる。
なんか子供扱いされてるし。
でもはランチアにこうされるのが好きだった。

「あ、そうだ!これ味見してみてよ!」
「なんだ?煮物か?」
ジャガイモを一欠けら掴み、口へ運ぶ。
「ん…」
「しょっぱくない?」
「いや、美味い。調度いいと思うぞ」
「よかった〜」
ニコニコと二人で話をしていると、またも背後から声がした。
「うん…やっぱそうら…」
適地偵察から戻ってきたらしく、現れたのは犬だ。
骸はまだ帰って来てないみたいだけど。
「あ、犬おかえり!やっぱり…って何が?」
心なしか、犬がニヤニヤと笑っているような気がする…。
とランチアってさ…」

「夫婦みたいらなぁーって思って」

一瞬時が止まった。が、とランチアの顔が勢いよくトマト色になった。
「な、何言ってるのよ!!」
「らって、新婚夫婦みたいらぜ?らぶらぶ〜」
からかうように叫ぶ。しかし突然犬が前のめりにずっけけた。
「ッテェー!!」
「うるさいよバカ犬」
邪魔しちゃダメでしょ、と小声で言ったのが聞こえた。
かとそのまま千種は犬の襟元を持ち、ずるずると隣の部屋へと消える二人…。
残された二人は赤くなったまま、しばらくの間沈黙が続いたのであった。