誉め言葉

「お、俺がやるのか?」
「いいでしょ〜やってよ」
ちょっと困ったような顔をしつつ、私の手からピンを受け取る。
いつもは自分でやってるんだけどね。
今日はランチアにやってもらうんだ。
だからピンの色も違うの。普段は黒だけど、今日は赤。
「変になってもしらんぞ」
「昨日犬にやってあげてたじゃん」
それが羨ましかったんだもん
「ぁあ…それはそうだが…」
「ならいいじゃん」


「お前…髪伸びたな」
「ん?そう?」
大きな手が頭に触れて、優しく撫でてくれる。
すごく気持ち良くて、温かい。

「ほら、できたぞ」
「おぉ!」
鏡で見てみると、左右に二つずつ、綺麗にピンがついていた。
それをにこにこと嬉しそうに触る。
「えへへ〜、ありがと」
「…」
「ランチア?」
「お前…赤似合うな」
「え…」
ニコッと笑って、その場を去っていく。これはランチアなりの誉め言葉だ。
直接「可愛い」とは言ってないけど、そういう意味も含めて言ってくれるのだ。
普段はそういうこと全く言わないランチアが…私に言ってくれた。
犬に言われても、骸に言われても別に普通だったのに…
ランチアに言われると、何だか恥ずかしいよ。
でも…すごく嬉しい。

END