視線

「……」
「やらないんですか?」
やらないか、だと…?こんな状況できるわけがない。
私が真面目に学校の宿題をやっていたら、骸がやって来た。
「ここいいですか?」と、私の正面に腰を下ろし読書を始めた。
そこまではよかったんだ。
が、しばらくすると骸は本から目を離し、私に視線を向けた。

………気になる。

こんな近くで見つめられれば誰でもそうだろう。
勉強に集中しようとしても気になって集中できない。
そんなこと骸だってわかってるだろう。
わかっててもやるのがこの男だ。相変わらず嫌な奴だ。
「…なんか用?」
「いえ、別に」
「じゃあそこにいるのやめてくんない?」
「おや、さっきは『どうぞ』って言ってくれたじゃないですか」
「さっきはね」
吐き捨てたように言い、読んでいた教科書をぱたりと閉じる。
骸が動かないなら私が動くしかないか…。
荷物をまとめ、立ち上がろうとした時、骸の手がの手を掴む。
「すみません」
一言。そして腕を強く引く。バランスを崩し、は骸の胸に倒れ込む。
「っ!」
があんまり愛おしいものだからつい…」
強く抱きしめ、耳元で囁く。
は深く溜め息をついた。
「だったら…勉強してない時にしてよね」
呆れながらも、居心地の良さに口元が緩む。
そのまま骸の胸に体を預けた。