手料理

「お前料理なんてできたのか…」
「当然だろ。でなかったら誰が王子の飯を作るんだ?」
言われてみれば、それもそうだ。
太臓は料理なんてできないだろうし。
しかしこれにはびっくりする。
目の前に並べられた豪華な料理。
王族が食べそうだ。(思えば太臓も一応王族か…)
「そんなに意外か?」
呆気にとられていた宏海の顔を覗き込む。
大きな目。長い睫毛。柔らかい髪。白い肌…。

ホント、女みてえだな…。

「宏海?」
「あ、ああ何でもねーわ」
ヤバイ。余計なこと考えるな自分。
目の前の料理に目線を戻し、箸を持つ。
料理が冷めないうちに頂くとするか…。
小さなタケノコの煮物を自分の口へ運ぶ。
その間悠はずっとこちらを見ていた。真っ直ぐに。
少々気になるが、噛み締めたタケノコの味で全てが吹っ飛んだ。
「お!コレうめえ!」
「そうか?」
本当に美味しい。多少の料理はできるとしても、ここまで料理が上手いとは思わなかった…。
他のおかずにも勢いよく箸をつけ、あっという間にすべて完食。
「ごちそーさん」
「よく全部食えたな」
「ああ。にしてもお前料理うめえな」
「そんなに上手いか?」
「ああ、すっげぇ美味かった」
ありがとな、って言ったら、珍しく悠の方から目を逸らした。
後ろから見た悠の頬が桜色に見えたのは、気のせいではない。

END