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「過ぎたことなんて気にするなよ」 そう言ってシモンさんは僕に手を差し延べてくれた。 僕はシモンさんに、あんな酷い仕打ちをしたのに。 何事もなかったかのように優しく微笑んでいた。 昔からそうだ。シモンさんは優しすぎる。 だが、その優しさが時に残酷になるのだ。 コンコン やや控えめにノックをし、中へと入る。 「失礼します…」 「あ、ロシウ!どうした?」 「ぁ…あの…」 「?」 話を切り出そうと顔をあげると、そこにはシモンの顔のアップ。 「っ」 「気にするなって言っただろ?」 ムッとした顔でそう言うと、またいつもの笑顔に戻る。 まだ何も言ってないのに、この人はもう僕の言おうとしていることがわかっている。 「今は…町のみんなを守らなきゃならないんだから」 ね、とニッコリした笑顔を向けられると気が抜けてしまう。 思わず自分の顔も緩んでしまう。 だが、それはほんの一時にすぎなかった。 シモンさんは窓の外に視線を移し、より一層優しい顔になった。 そう、その先にはシモンさんが最も敬愛する人がいた。 「……」 「人のこと言えるんですか?」 思わず口から出た言葉は酷く冷たかった。 そんなつもりじゃなかったのに。何だかすごく不快で、つい言葉に力が入ってしまった。 「ロシウ?」 「カミナさんはもういないんですよ」 カミナという単語を出した瞬間、シモンさんの肩がぴくりと震えた。 それを見て僕はまたチリリと胸の当たりが痛み、不快感が募る。 「なんだよ?いまさら!そんなことみんな知ってるよ」 ぎこちなく笑うシモン。崩れてしまいそうな顔だ。 昔と比べれば強くなったシモンさんでも、まだ強くなりきれてはいない。 カミナさんのこととなると…。 「なら切り放したらどうです?その想いを」 「な、何言って…っ!!」 ドン!と大きな音を立てて、シモンが床へと倒れ込む。 その上にはロシウが馬乗りでシモンに覆い被さっていた。 「おい!ロシウ!どういうつもりだ!」 「……」 ロシウは何も言わず、シモンの手首を押さえ付けて、唇を重ねた。 舌でシモンの口をこじ開け、そのまま舌を差し込む。 「んっ…」 キスをしながら、空いている片方の手で器用にシモンの服を脱がしていく。 「ろし、ぅ…やめっ…!」 「……」 貴方が悪いんだ…。 熱を持ち始めたシモンのものにそっと触れてみる。 するとシモンは大きく目を見開き、必死に抵抗した。 だがそれも虚しく終わり、どんどん身体の力が抜けていく。 「…淫乱な人だ」 「や、だっ…やめろ…っ」 シモンはひたすらやめろと言い続けたが、ロシウは行為をやめなかった。 しかし… 「やだ……アニ、キ…っ」 びたりとロシウの手が止まる。 「ア、ニキ…アニキ…アニキ…っ」 シモンは泣きながらカミナを何度も呼んだ。 まるでカミナに助けを求めるような、そんな震えた声だった。 僕は何をしている? シモンさんにこんなことして何になる? なんで僕は今こんなにも虚しいのだろうか。 |