「よかったのか?悠」
「何がです?」
「宏海の、こと…」
「…最初から…わかっていたことです」
宏海と共に生きることなどできやしない、と。
俺は間界人。だが宏海は実界人だ。力も、寿命も違う。

だけど…それでも俺は……。


「俺じゃあムリかな…?」
「?」
突然太臓の口から出た言葉に、悠は首を傾げる。
太臓は不安げに、そして俯いたまま、服を強く握りしめていた。
「俺じゃあ宏海の穴、塞げない、かな?」
「王子…?」
「悠が楽しいって思えるように頑張るから…だから」
だから…お願いだから…

「そんな悲しい顔すんなよ…」

俺は楽しそうにしてる悠が好きなんだ。
表情にはあんまり出てないけど、俺にはわかる。
いつも俺はいじられてばっかだけど、そんな悠が好きだから我慢できる。
小さな身体を縮こませ、震える身体を必死に抑える。
太臓の方が泣き出してしまいそうだ。
そんな太臓を見て、悠は立ち上がり太臓の前でしゃがみ込んだ。
「まったく。あなたは泣き虫ですね」
「なっ…!泣いてなんか…っ」
勢いよく太臓の顔が持ち上がったと同時に、悠はその身体をそっと抱きしめた。
「ゆ、う…」
「私は王子に仕える者。離れることなどありませんよ」
そう言って、悠は小さく笑った。

温かい。
以前の悠に、こんな温かさはなかった。
冷たくて。怖くて。その目はまるで冷酷な蛇そのものだった。
そんな悠が、今はこんなに温かくて。優しくて…。
悠の中で、それほど宏海の存在が大きかったんだと実感した。
そう考えると心が痛い。
だって宏海はもうここには…

「王子」

悠の呼び掛けで、はっと我に返る。
「そんなに心配しなくても、私はもう大丈夫です」
「悠…」
「私には王子がいるんですから」
俺のことが好きじゃなくてもいい。
俺の面白だけが好きなら、それはそれでいいから。
だから…、お願い。ずっとその顔でいて。
もう二度と、あんな悲しい顔は見せないで…。

END