生きる


短く呼ばれ、顔を上げると、綺麗な顔が近くにあった。
「あ、ヴィラル!」
「どうした?ぼーっとして」
「ううん、何でもないよ」
そう言ってゴロリと大の字になり、空を見上げる。
何でもない?ウソだな。その顔は。
「カミナのことか?」
ぼそりと吐いた言葉にの肩がぴくりと震えた。
「やはりそうか…」
「ち、違うくて今のは…っ!」
大の字になったを覆うように、上からヴィラルが被さる。
「ヴィラ…」
「そんなにあいつが好きか?」
奴はもういないんだ。いくら好きになっても逢えることなどない。
「知って、たんだ…」
「お前を見ていればわかることだ」
心臓の辺りがが締め付けられるように苦しい。よくわからない感情が込み上げてくる。
「…確かに私はカミナが好きだったよ。カミナが死んで、生きる意味がなくなった気がした」

「でもね…」

白いの手が、毛で覆われた大きな手の上に重なる。
「ヴィラルがまた生きる意味をくれたから、今は平気だよ」
「俺が…か?」
「そうだよ」
優しく微笑む。この笑顔を見ていると、不思議と心が安らぐ。
「だから…ヴィラルは私を置いていかないでね」
優しかった笑顔に、悲しみの表情が入り混じる。
これ以上の笑顔に悲しみを混ぜないためにも、俺はくたばるわけにはいかない。

END