変わり者

「ねぇ…」

悠はあの子が好き?

いきなり問いかけた言葉。 最近悠の前に現れた翠という名の女の子。 あの子も間界人らしい。悠を捜して実界まで来たとか。 そんな話を宏海から聞いた。 私は悠たちとは別のクラスだから、お昼と下校の時くらいしか一緒にいる時間はない。 行こうと思えばちょっとの休み時間でも会いにいけるけど…。 たかだか10分の休み。行ったところで大した話はできない。 それでも その翠という子は、たびたび来るらしい。 階も違うのに。悠に会いに…。 宏海の話からすると、今のところ悠にその気はないらしい。 だけど無表情な悠のことだ。何考えてるかわからない。 もし悠があの子のことを好きになったら。 もし悠があの子と付き合うことになったら。
「どうしたんだ?突然」
「いや…だってさ、あの子すごく悠のこと想ってるみたいだから…悠はどうなのかなって…」
「…… ああ、嫌いじゃないな。あの大胆さは」
「……そっか」
ヤバイ。泣きそうかも。 でも俯いたら涙が出てきちゃいそうで、無理矢理 笑顔を作って上を向いた。 気を紛らわせるかのように、私は机に腰掛けて、ぶらぶらと足を揺すった。 すると、隣に座っていた悠が突然席を立った。 そのまま私の向かい側に立った。
「何泣いてるんだ?」
「え…」
あー やっちゃった。 精一杯笑ってるつもりだったのに、涙が出てた。 つい見られまいとして、俯いた。悠を避けるように顔を横に向けた。 「バカだな。誰が翠を好きだと言った?俺は『嫌いじゃない』と言ったんだ」
悠の手がの顎へと伸びる。 抵抗するでもなく、の顔は悠を見上げる風になった。 まっすぐに私を見る悠の瞳に吸い込まれるように、顔が近づいて、唇が重なった。 軽く触れるだけのキス。だけど、悠はそのまま私の顔を舐めるようにキスをした。
「…っ、ん」
「翠には悪いが、俺が好きなのはだ」
「ゆ…、う」
そう一言言うと、悠はまたキスをし始める。 顔から耳。首。鎖骨。そしてまた唇へと戻ってくる。 今度は悠の舌が私の口中に入ってきた。 熱で頭がどうにかなりそう。 息ができなくて、苦しかったけど、悠と交われてる気がして嬉しかった。 舌が抜けると、悠は私の唇をぺろりと舐めて、うっすらと笑みを浮かべた。 「こういうことをするのはだけだから、安心しろ」
そう言い残して、悠はかばんを持ち、教室を出た。 全てお見通しだったんだ。泣いてた理由もすぐにばれちゃった。 なんだか恥ずかしいけど、嬉しくも思えた。
それにしても……

突然の出来事で、今私は立つこともできないよ。