消毒

「っつ…!」
「どうした?」
指を押さえて、手に持っていた包丁をまな板の上に落とす。
押さえている手の隙間からは、赤い液体がゆっくりと流れ出す。
「切ったのか?」
「ぅん…やっちゃった」
ヘラヘラと笑うの腕を、悠はそっと引いた。
血が出てる指をつかみ、そのまま口へと運ぶ。
「ちょっ…悠!?」
「切り傷にはこれが一番だ」
生暖かい感触。
ヌルリとした舌が傷口を舐める。
それが少し染みたようで、は小さく顔を歪めた。
「とまった」
悠の口から出てきた指には、もう血は付いていなかった。
それだけではない。傷口まで塞がっている。
今さっきまで、ぱっくりと開いた傷だったのに。
「傷に効く毒だ」
「毒…?」
「俺は蛇だからな。牙から色んな毒を生成できるんだ」
ほうほう、と頷きながら傷を見る。
「じゃあ、太臓の怪我も、いつも悠が?」
「いいや。王子は回復力が早いからその必要はない。それに…」
「ぁ…、ゆう…」
の顎に悠の手が伸びてくる。
上を向かせ、唇が重なるすれすれのところで、そっと囁いた。
「俺が口にするのはだけだ」
それだけ言い、悠はの口を塞いだ。
その口からは、とても甘い味がした。
それだけで私は溶けてしまいそう。

END